「どうしました? 今朝はまた、いつもより積極的な」
「そうかな。これが普通だろ」
「普通ですか、これが」
「うん」
 頷きながら首元を啄ばむ。わざと跡を付ける様にして。
 そんなこちらの頭を抱きかかえながら、アルトリアは嬉しそうに囁く。
「結婚をすると、この幸せな一時すら普通になってしまうのですね」

 

【 生き方は変えられない。在り方も変わることはない。けれど、互いへの想いが磨耗せずに残っているのだとしたら、彼と彼女それぞれの生き方や在り方はそのままに、二人だからこそ出来る何かがあるかもしれない。

その関係性だけは、再逢までの旅路の中で、未知のものだから。

 

 故に――結婚し、夫婦となって、自らの足で前へ進もうと、そう二人で決めたのだ。】

 

 

そんな、士郎とアルトリアの前に突如現れた闖入者。

 

 

「――やれやれ。久々に再会した偉大な師をいきなり撲殺しようとは、かの騎士王はいつから蛮族に成り下がったというんだい?」


 なあ、と同意をこちらに求めてくる。
 穏やかでありながら、どこか他人事のような響きの声音。
 実際、彼が何者なのか士郎はまったく知らないし、皆目見当も付かない。まさしく他人そのもの。だというのに、向こうは自分を既知のものとして認識しているようだ。
 だが、アルトリアは違った。
 辟易としたものを込めた怒りの表情で、彼女は己が既知としていた名を口にする。
「……マーリン!」


コミックマーケット90【寸劇屋】新刊鞘剣本は、結婚に際し士郎とセイバーが各所・ゆかりのある人物に挨拶回りをするお話となっております。

FGOネタ、GoAネタも含まれますので、ご存知であればよりお楽しみいただけます。

当日はどうぞよろしくお願いいたします。当日の頒布物一覧はこちらをクリック

 

 

contents


[ Week End. ]

「いいですか、シロウ」

「あ、ああ」

「あれほど言ったではありませんか、もう私をセイバーと呼ばぬように、と」

 真っ直ぐな視線で、そう言った。1章目のみ、Pixivでサンプル全文公開中!

[ カンナンシンク ]

「あの戦場帰りモードの爺さんって初めて見るんだけど、本当に俺の知ってる爺さん?」
「私も初見になります。あのようなはしたない格好をしたアイリスフィールを含めて」 

[ Red Zone ]

「ローマ帝国第五代皇帝、ネロ・クラウディウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクス!

  此度の召喚に応じ、ムーンセルから只今推参ッ!!」

 

「世話になったどころか知らない人が出てきたんだけど」

[ kid,I like quartet ]

 軽装の甲冑に身を包んだ剣士が、こちらの行く手を阻むように――否、到来を待ち望んでいたように佇んでいた。

「うっ、うぐ……ひぐっ、えう――我が王ッ、我が王がお幸せになられて……!」
「な、何故そこで泣くのですかっ、サー・ベディヴィエール!!」

 

「最早、我が生涯に一片の悔い無し――!」

[ SUN ]

「シロウ。貴方は私の鞘で、そして最果てだ――」


2016年8月14日(日) コミックマーケット90 3日目

東3ホール オ-15a 「寸劇屋」

作:トウヤレイイチ(@touya01Pixiv

表紙イラスト他:いずみやみその(@misonoizumiyaPixiv